うさぎの飼い方

うさぎの飼育に必要なものは何?うさぎ飼育環境の注意点とは?

うさぎの飼育に必要なものは何?うさぎ飼育環境の注意点とは?

ペットショップで見かけたなんとも愛くるしい姿のウサギさんに魅せられて、ついその場で購入してしまいたくなる人も少なくないでしょう。

確かにウサギは一人暮らしでも比較的飼いやすく可愛いパートナーになってくれますが、環境を整えないまま衝動買いするとウサギにとってストレスの多い住処になり、果ては病気の原因にもなってしまいます。

ですからまずはウサギの飼育に必要なものを揃え環境を整えてあげなければなりません。

うさぎの飼育に必要なスペースとケージの選び方

飼われているウサギを見るとのんびりと大人しくしているようでそれほど活動スペースは必要ないのでは?と思ってしまいがちですが、実はウサギはとても活発。

そもそも本来野生のウサギ(アナウサギ)はおよそ0.25~4haほどの広さを縄張りとして群れで生活しています。

「0.25~4ha」と聞くとずいぶん幅があるように思えますが、これは群れの大きさによる違いで、比較的大きな群れになると6haにも及ぶ縄張りを有していることもあるようです。

このような本来の習性からしてもウサギはかなり広い範囲を走り回る動物であり、さすがに自宅にそのようなスペースを確保してあげることはできないとしても、少なくとも1日に1時間程度はケージから出して部屋を走り回って遊べるようにしてあげる必要があります。

とは言え部屋にはウサギにかじられたくないものや特に電気の配線コードなどウサギにとって危険なものもありますから、部屋で遊ばせるときはそれらを隠すか柵を立てて入れないようにしておくと良いでしょう。

このようにかなり広いフィールドを必要としているウサギですが、一方で寝床となる場所、自分の住処に関しては広すぎると落ち着かず適度な大きさのものを好む習性があります。

というのも「アナウサギ」と言う名の通り、元々巣穴を掘って小さな穴蔵のなかで生活していたウサギが先祖であり、飼育用のウサギもその名残から暗くて狭い穴蔵にいると落ち着く子が多いのです。

では具体的にどのくらいの広さが必要かというと、EUが制定している「実験動物保護指令」(動物実験に使用される動物たちの保護に関する取り決め)によると、ウサギがストレスを感じずに生活できる飼育スペースは「3kg未満のウサギで床面積3500平方cm・高さ45cm・ロフトの広さ55×25cm・ロフトの高さ25cm」、「3kg以上5kg未満のウサギで床面積4200平方cm・高さ45cm・ロフトの広さ55×30cm・ロフトの高さ30cm」とされています。

これを参考にケージを用意してあげると良いですが、中には「以前飼っていた猫用のケージが余っているから流用したい・・・」という人もいるかもしれません。

広ささえ確保できていれば大丈夫と思うかもしれませんが、やはりウサギ用のケージはウサギが落ち着けるようにうまくデザインされていますから、できればウサギ専用のケージを購入することをお勧めします。

もしどうしても既存のケージを使いたいなら、その中でウサギが落ち着けるようにウサギの寝ぐら用グッズを置いてあげましょう。

ウサギのケージを選ぶ際には、広さだけでなく床材にも注目しましょう。

床材として多く使用されているのは、「金属(金網)」「木材」「プラスチック」の3つ。

金属タイプは洗いやすく食べこぼしが網目から落ちるため床にゴミが散らばらず、清潔を保ちやすいのがメリットですが、金網がウサギの足にダメージを与えてしまう可能性があります。

足への負担を軽くするために網の目の細かいものを選び、足を休められるスペース、例えば座布団や牧草を敷いたスペースを用意しておきましょう。

一方木材タイプはウサギの足に優しく爪も引っ掛かりにくいので怪我の心配が少ないのがメリット。

金属タイプと比べると安価ですし持ち運びしやすいのも良いところなのですが、おしっこなどの汚れがしみ込んでしまうと洗い落とせないため衛生面で注意が必要です。

丸洗いしやすいものを選び、定期的に交換することをお勧めします。最後のプラスチックタイプは金属タイプより足への負担が軽くしかも洗いやすいため衛生面でも問題ありませんが、爪でひっかかれて傷がつくと、その傷に菌が溜まって繁殖してしまう可能性もあります。

また体重の重い子だとプラスチックが耐え切れず沈んでしまうことも。比較的小柄な子に向いている素材と言えるかもしれません。

うさぎの飼育用品とその費用

ウサギを飼うにあたって必要になるのは、勿論ケージだけではありません。

最初から揃えておきたいのが、主食となる牧草と牧草入れ。牧草には主にイネ科とマメ科があり、マメ科はタンパク質等栄養価が高いですがカロリーも高く与え続けるとカロリーオーバーとなってしまいます。

基本はイネ科の牧草を主食として与え、マメ科の牧草は1歳になるまでの子ウサギや痩せ気味の子、高齢のウサギなどに限定して与えるようにしましょう。

また同じイネ科でも刈込時期によって硬さが異なります。繊維が豊富な一番刈り(初夏~夏)をメインとし、柔らかい二番刈り(秋)や三番刈り(晩秋)を適度に混ぜて与えます。

牧草入れは主に「前置きタイプ」と「引っ張り出しタイプ」があり、いずれもウサギがひっくり返さないようケージに固定できるものがお勧めです。

「前置きタイプ」とは牧草を上から入れて上から食べさせるごく一般的なタイプ。

「引っ張り出しタイプ」はウサギが牧草を引っ張り出して食べるタイプで、大抵の場合牧草がたくさん引っ張り出されて落ちてしまわないようストッパーが付いています。

素材も様々で、かじり木も兼ねた木製のもの、水洗いができて軽量なプラスチック製のもの、丈夫な金属製のもの、かじられる心配もかじることによる歯への悪影響の心配もない陶器製のものがあります。

素材によっても異なりますが、大体1000~2000円以内で購入することができます。

また水を飲むための給水器も用意してあげましょう。
お皿で与えることもできますが、汚れが入り込まない給水器の方がより安心です。
給水器もおよそ1000円~1500円程度で販売されています。

次にウサギのトイレです。ウサギはトイレを覚えることができる動物なので、衛生面から考えても是非しつけるようにしましょう。

毎日洗えるものが理想的なので、軽量で丸洗いできるものがお勧めです。
ウサギの大きさに合わせて購入する必要がありますが、ウサギが中でしっかり用を足せるなら省スペースな三角タイプが良いかもしれません。

1000円以内で買えるものもあれば、2000円以上するものもあります。
またトイレに敷くトイレ砂やトイレシーツも一緒に購入しましょう。

トイレの汚れを防ぎ、臭いを軽減してくれます。他に、歯を定期的に削るためにも欠かせないかじり木やグルーミング用のブラシも必要で、それぞれ500~1000円以内で販売されていますが、これらウサギの飼育に必要なものをケージと共にセットした「スターターセット」のような商品もあり、1万円程度で購入できるため初めて飼う人ならこちらの方がお得、ということもあります。

一方セットには含まれないものの、必ず必要になる道具として、トイレの掃除やしつけにつかう消臭剤、スコップや汚れを落とすヘラなどの掃除用具が挙げられます。

更にいずれ必要になってくるものとして、ウサギ用キャリーが挙げられます。

ウサギはあまり外出を好まないため頻繁に必要というわけではありませんが、獣医に連れて行ったりとどうしても連れ出さなければならないこともあります。

そのため、できるだけストレスを与えないようキャリーはウサギにとって快適に過ごせる場所でなければなりません。

おしっこをしても体が濡れない、中で足が伸ばせるなどの機能がついているものを選んであげましょう。

キャリーは3000~4000円程度で販売されています。

季節によって必要なものもあり、例えば夏場は体温を下げてくれるアルミや大理石でできたクールプレート、冬場はヒーターやケージカバーなどが挙げられますが、これはどんな環境で飼育するかによっても異なります。

これら最初からうさぎの飼育に必要なものやいずれ必要になるものを最低限揃えた場合で、2~3万円は必要になると考えておきましょう。

気を付けて!うさぎの飼育環境の注意点

前述の通りウサギは元々穴を掘って地中を住処としていた動物です。

地中は地上の季節による気温変化の影響をあまり受けず、夏は涼しく冬は暖かいのが特徴。

従ってウサギは本来大きな気温の変化に弱く、特に高温多湿を苦手としています。

ウサギにとって最も快適なのは温度15~26℃、湿度40~60℃と言われていますから、特に夏場は要注意。

室内で飼っていると飼い主が平気なのでウサギも大丈夫と思ってしまいがちですが、できれば室内温度25℃、湿度50%に調節してあげましょう。

室内全体をウサギに合わせられない場合でも、通気性が良く直射日光の当たらない場所にケージを置き、前述のクールプレートを利用するなどしてウサギが快適に過ごせるよう工夫してください。

一方比較的冬には強い動物ですが、室内でも場所によってはヒーターを置いてあげる必要があります。

室内でエアコンを点けている場合でも、暖かい空気は上昇するため飼い主は気づかなくても床に置いてあるケージ付近は意外に低気温になっていることがあります。

ヒーター以外にも、ケージをカバーで覆ったりハウスに藁を敷いたりすることでも冷気対策になります。

とは言え、ウサギは意外に適応能力も高いので、それほど気温の変化に神経質になる必要もありません。

それどころか1年を通じて常に気温が一定だと春や秋に起こる換毛のサイクルが乱れてしまう、つまり毛の生え変わる時期が狂ったり生え変わり期間が長くなってしまったりする可能性もあります。

まとめ

猫や犬と比べるとペットとしてはかなり繊細で弱い部類に入るウサギですから、飼う前にきちんと環境を整えてあげましょう。

飼育用品だけでなく、気温や湿度にも気を配るようにしてくださいね。ウサギはおよそ8~10年が平均寿命と言われていますが、これも飼い主さんがウサギに対する正しい知識でもって飼ってあげているかどうかに大きく依存しています。

可愛い愛兎ですから、できるだけ長く生きて欲しいものですよね。(2019年現在)