カイウサギの中でも最小と言われる「ネザーランドドワーフ」。
その名の通りオランダの(ネザーランドNetherland)とても小さい(ドワーフdwarf)ウサギということで、大人になっても体重1kg程度しかありません。
そのうえ人懐っこくて甘えん坊、好奇心も旺盛でやんちゃな一面も持つ、見た目も性格も可愛らしい品種ですから、「ウサギを飼うならネザーランドドワーフ!」と決めている人も多いことでしょう。
とは言えネザーランドドワーフだって犬や猫と同様、仲良く暮らしていくには最低限のルールを覚えさせなければなりません。
つまりウサギもしつけ次第で飼いやすい良い子にもなれば、飼いづらい困った子にもなり得るということなのです。
他の動物と同じく早い段階でしつければそれだけ早く覚えてくれますが、ウサギは犬や猫と比べてとても繊細でか弱い動物。
お家に連れてきてから最初の1週間は慣れさせることを優先し、不必要なストレスを与えないようそっとしておいてあげる必要があります。
良かれと思って(可愛さのあまり)抱っこするのも厳禁!
特に最初の3日目くらいまでは抱っこされるだけでもびっくりしてショック死してしまう危険性があります。
ケージ越しに触るなどして少しずつ慣れさせ、ウサギが自分から飼い主に寄ってくるようになるまで待ってから、躾のスタート開始です。
トイレのしつけ方
何より最初に覚えて欲しいのは、トイレの場所ですよね。
ウサギはトイレを覚えることのできる動物だとよく言われますが、正確に言えば覚えるというよりも自分で決めた場所をトイレとして使用する動物なのです。
ですからトイレとして使用して欲しい場所を「ここをトイレにしよう!」とウサギに思わせること、つまり誘導することが「トイレのしつけ」になるわけです。
具体的にどうすれば良いのかと言うと、ニオイを頼りにトイレを覚えさせること。
ウサギは自分の排泄物のニオイがするところを「トイレ」と認識しますから、トイレ以外の場所でおしっこをした時にすぐにティッシュ等で拭き取り、そのティッシュをトイレの中に入れておくのです。
最初はウンチもあちこちでしますから、片づける時に数個拾ってトイレに入れておきましょう。
逆に言うとトイレ以外の場所に自分の排泄物のニオイが残っていたらウサギはそこでおしっこやウンチをしても良いのだ、と誤解しますから、できるだけ早く、ニオイが残らないようにしっかり掃除しておく必要があります。
フローリングなどは拭き取ることでニオイもとれますが、カーペットやクッションのような布製はしみ込んでしまいなかなかニオイがとれないため、すぐに洗濯するか、ソファのような洗濯が難しいものは消臭スプレーや、アルカリ性であるおしっこのニオイを中和してくれる酸性のお酢を使ってニオイを拭き取るようにしましょう。
またトイレを覚えるようになるまではウサギをよく観察し、おしっこをしたそうなそぶりを見せたなら優しくトイレに誘導してあげることも大切。
尻尾を上げ後ろ足を少し開くようにして座るようなポーズしたなら、おしっこの兆候。トイレに連れて行って優しくお尻を撫でてあげると、ここでおしっこをすれば良いのだ、と分かってくれる子もいます。
きちんとトイレでできたときには沢山褒めてあげましょう。
ウサギだって褒められれば自分が良いことをしたのだと理解します。
逆に失敗した時にきつくしかるとおびえさせるだけ、ということも。
特に粗相してから時間が経ってしまうと自分がなぜ叱られたのか分からないので無駄におびえさせるだけになってしまいます。
失敗した時は現行犯で叱るのが鉄則。
少し低めの声で「ダメ!」という程度で十分です。
このようにしてしばらくは辛抱強くトイレトレーニングを繰り返しましょう。
ウサギは自分の排泄物のニオイが付いていてしかもそこがトイレとして快適な場所であれば、そのうち喜んでそこをトイレとして使ってくれるようになります。
ウサギにとって「快適なトイレ」とは、外からはなるべく見えない場所。
ウサギは自分の身の安全な場所で排泄することを好むため、ケージの隅、壁側の見えにくいところにトイレを置くと気に入ってくれます。
トイレを覚えてしまえばそこでしか用を足さなくなるので室内で自由に遊ばせても安心ですね。
ところがトイレを覚えたはずなのに、なぜか違うところでおしっこやウンチをする!ということもあります。
これはもしかしたら飼い主に構って欲しいというアピールなのかもしれません。
あるいは雄であれば縄張りを主張したいためとも考えられます。
このような場合の粗相はウサギにとっては当たり前の行動なので、叱るというよりはその原因の解決にあたりましょう。
構って欲しいとのアピールであればしばらく一緒に遊んであげる、縄張りの主張であればその周囲にあるものを移動させてみると治まるかもしれません。
噛み癖の治し方
げっ歯類であるウサギは放っておくと歯が永久に伸び続けるため、定期的に何かをかじって歯をすり減らし整える必要があります。
このためウサギは本来噛み癖のある生き物。
ケージから出すと家具や生活用品をガジガジと噛んでダメにしてしまうので何とかしつけてやめさせたい!と思うかもしれませんが、噛むこと自体をやめさせることはできませんし、むしろやめさせると歯が伸び続けて最終的には顎を突き破るまでになってしまい、危険です。
そこで思う存分かじって歯を整えることができるよう、ケージ内にかじり木を置いてあげましょう。
それでも室内で遊ばせているとかじる可能性は十分ありますので、どうしてもかじらせたくないものは届かないところに置いておきましょう。
一方、同じ「噛む」でも飼い主を「噛む」となると、これは話が別。本来ウサギは温厚で、ちょっとしたことで相手を噛むということは殆どないため、飼い主を噛むとなるとそれなりの理由があると考えられます。
例えば命にかかわるような強い恐怖を感じた場合。
勿論飼い主側としてはウサギをいじめようとも、まして殺そうとも思っていませんが、まだ家や飼い主に慣れていない時期であれば、飼い主が良かれと思ってやったことでも驚いて噛んでしまうことがあります。
前述した通りいきなり抱っこするといった行為はまさしくそれ。
また慣れない時期はケージから出さない方が良いのですが、うっかり逃がしてしまい慌ててケージへ戻そうと追いかけると、ウサギからすれば命を狙われていると感じて噛みついてくる可能性があります。
家や飼い主には慣れているはずなのにやっぱり噛みついてくる・・・というケースでは、もしかするとウサギが自分は飼い主より上だと思っているのかもしれません。
元々ウサギは集団生活をする動物ですから、必ず上下関係があり、その中で大抵噛むのは「上」のウサギが「下」のウサギを気に入らなかった場合です。
従って怖がっているわけでもないのに飼い主に噛みつくのは、ウサギが自分の方が上位にいると思っている可能性があるわけです。このケースでは、正しい上下関係を認識させることが大切。
具体的には、ウサギの首を押さえて飼い主が後ろから顎を乗せる「顎乗せ」を試してみましょう。
この行為はウサギの側が降伏したことを意味するものなので、数回続ければ上下関係を理解する可能性があります。
とは言えできれば最初から正しい上下関係を覚えさせる方がずっと良いですよね。
実はウサギが「自分の方が上」と勘違いしてしまうのは、上下関係を決定づけようと「戦い」を挑んだ際に、うっかり人間が「負け」を認める行動をとってしまったことに原因があります。
例えばウサギが人間の服を引っ張ったり軽く噛んだりする時。実はこれは犬や猫のように甘えているのではなく、上限関係をハッキリさせるための「戦い」を挑んでいるのです。
ところが飼い主側がそれを理解せず頭を撫でてやったり驚いて逃げてしまったりすると、ウサギは「勝った!私の方が上だ!」と思い込むのです。ですから「戦い」を挑まれたなら、前述の顎乗せや、強く地面を叩いてスタンピングの真似をするなどして直ぐに「こっちが上!」という意思表示をしましょう。
また、ウサギの中には噛むことで自分の主張を通そうとする子もいます。構ってほしい、あるいは逆に放っておいてほしい、おやつが欲しい・・・等々。
このような場合には噛んでも要求は通らないということを教える必要があります。
噛んでも無視されたり逆に叱られたりすれば、ウサギも主張を通す方法として噛むことは有効ではないことに気づくはずです。
しかり方・褒め方のコツ
では具体的に、どうやってウサギを褒めたり叱ったりすれば良いのでしょうか。
最初に覚えておきたいのは、トイレのしつけ方でも触れた通り、褒めるも叱るもウサギが特定の行動をとったその時にすぐ!ということ。
例えば上手にトイレができた時にはその場ですぐに褒め、いたずらをした時にはその場ですぐに叱らないと、しばらく経ってからではウサギはなぜ自分が褒められたのか、あるいは叱られたのかを理解することができません。
まず褒め方ですが、柔らかくて少し高めのトーンで「良くやったね」「いい子いい子」と言いながら頭を撫でてあげましょう。
ご褒美におやつをあげると良いですが、あげすぎには注意してください。
慣れていないうちはウサギにとって抱っこはびっくりさせられるだけのものなので、ウサギが自分から甘えてくるようになるまでは褒めるつもりで抱っこするのもNGです。
一方叱るときの声のトーンは逆、低めに強く「ダメ!」と言い、床を強くたたくなど大きな音をたてましょう。
逆に絶対してはならないのは、叩いたり耳や足を掴んだりすること。
これらはウサギにとって教訓を学ぶというよりただひたすら怖いだけ、飼い主に怯えて余計言うことを聞かなくなってしまいます。
その上ウサギは骨が弱いですから、軽くたたいたつもりでも骨折してしまう危険性もあります。
叱るときに名前を呼ぶと名前に対して悪いイメージを持ってしまいますから、これも避けるようにしましょう。
まとめ
ネザーランドドワーフは元々集団生活をしていたアナウサギの子孫ですから、上下関係の意識があり社会性を身に着けることのできる生き物です。
前述の通り「飼い主さんが上」という認識を与えることができれば、とても飼いやすい良い子になってくれますよ。
飼いやすい良い子というのはそれだけ事故を起こさない子ですから、愛兎の寿命にも関わってくると覚えておきましょう。